写真のこれ、何だか分かりますか?バミレケ族の村で見つけたものです。
答えはトーキングドラムの一種です。
手紙も電話もない時代、これを叩く音をモールス信号のように、遠く離れた隣の村へ、そこからさらに隣の村へと情報を伝達したそうです。植民地時代には、往々にして白人が行く先々にはすでにトーキングドラムによって触れが回っていて、その通信速度に驚いたというエピソードがあります。
具体的には、ドラムの高低の音を声調言語に重ねるのですが、もちろんそんなに簡単ではありません。例えば”月”と”鳥”は、「高高」という同じ声調パターンの2言節なので、それらを区別するために、それぞれ「月が大地を見下ろす」、「あの鳥、小さくてkiokioと鳴く奴」と長くなり、太鼓音は「高高低高低低低低」、「高高低高高低低高低高低」となるそうです。
人の名前も同じ名前が何人も居たりややこしいので、太鼓名というものがあります。ある村の教師ボティコテイコの太鼓名は「この強壮な男はまだ戟問に送り山されていない」、医療助手のワウイナは、「この誇り高い男は決して忠告をいれない」だそうです。これらをまた高低の太鼓音で打つのも大変だろうなと思いますが、なんせ面白くワクワクする話です。
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